戦車を軽く作るのは難しい
2010年8月20日 軍事・政治 コメント (2) さて、TK-Xがいよいよ10式戦車として来年度より配備が始まります。なんといっても大きな特徴が従来の主力戦車としての性能を損なうことなく、(むしろ向上している)44tという世界標準からすれば異常なほど軽い戦車という点です。ところが軍事知識に乏しい方は軽く作れるんなら最初から軽く作ればいいじゃないか、と思ってる方がいらっしゃるようなので、この疑問を解決したいと思います。
そんなわけで今回のテーマ「戦車を軽く作るのは難しい」
生粋の軍事オタクの方々にとってはこのテーマは常識すぎるくらい常識なのでそういった方々は読み飛ばし推奨です。今回もだいぶ使い古されたネタになります。
と、ここで本題に入る前に、重量が軽くなった分、装甲が薄くなっていないか、という疑問には週間オブイェクト様が解説なさっているのでそちらを参照するといいでしょう。
こちら
http://obiekt.seesaa.net/article/141933526.html
このように、戦車のサイズを小さすることにより、装甲厚を保ったまま重量を減らすのは可能である事がわかります。といったところで本題に入ります。
さて、そもそも兵器というのは整備、輸送等の運用上、基本的には軽ければ軽いほど、小さければ小さいほど都合が良いです。ですが戦車の場合、そうもいかない問題が出てきます。
ニコニコ動画で失礼しますが・・
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2817992
(視聴にはニコニコ動画アカウントが必要になります。)
(これのyoutube版等を探してみましたが見つかりませんでした。申し訳ない)
これは戦車の発砲時の動揺を比較する動画です。74式で38t、90式で50tあるのですが、その数十トンもある車体がぐらぐらと揺れている様子がよくわかります。この反動が戦車を設計する上での曲者で、これを抑えないと戦車の性能が大幅に制限されてしまうのです。
まず、主砲の発砲時の反動を抑えないと車体(主砲)が揺れてしまい、命中精度が下がってしまいます。命中精度が下がる、ということは有効射程距離も低下する事を意味します。昨今の携帯対戦車火器の射程が伸びる一方、これは非常によろしくないです。その上発砲後の動揺をいち早く抑えないと二発目が撃てない(動揺している状態では命中精度が下がってしまう)のです。この反動をいかに抑えるかで戦車の性能が大きく左右されてしまうといっても過言ではありません。
従来の戦車の場合、基本的には重量でこの反動を抑えるしかありませんでした。特に世界で広く用いられている戦車砲、ラインメタル社製44口径120mm滑腔砲の反動を抑えるには、最低でも50t、できれば60t近い重量が必要とされてきました。したがって、冒頭で述べたように装甲厚を保ったまま重量を減らす事が可能であっても、反動を抑えなければ意味がないのです。
(今回の10式戦車で軽い軽いと言われていますが、実は90式の50tですら世界的に見て相当軽いです。同じ砲を搭載しているレオパルド2で60t弱、M1A1、M1A2エイブラムスでは60tを越しています。90式の段階で、反動を抑える車体の基礎設計が相当優れていると思われます。)
ところが日本の技術者はこの難問をアクティブサスペンションというシステムを用いて解決しました。アクティブサスペンションというのは車体の揺れを検出し、自動的にそれを反発する可動サスペンションによって車体の揺れを抑えるというものです。これによって、重量を減らしつつ反動を抑える事に成功しました。つまり、44口径120mm滑腔砲を搭載しつつ、従来の性能を下げる事なく車体重量が44tという、まさに化物のような軽さをもつ戦車を日本は創り上げてしまったのです。
余談ですが、このアクティブサスペンションは74式戦車の頃から用いられている可動サスペンションの技術がふんだんに盛り込まれている事は容易に想像できます。つまり、アクティブサスペンションとは決してぱっと出の技術ではなく、これまでの何十年にも渡る技術の積み重ねによって戦車での実用化が成功したと思われます。これは他国にはない貴重な物で、日本の技術者は世界へ向けて胸を張っていい仕事をしたと言い切れるでしょう。
そんなわけで今回のテーマ「戦車を軽く作るのは難しい」
生粋の軍事オタクの方々にとってはこのテーマは常識すぎるくらい常識なのでそういった方々は読み飛ばし推奨です。今回もだいぶ使い古されたネタになります。
と、ここで本題に入る前に、重量が軽くなった分、装甲が薄くなっていないか、という疑問には週間オブイェクト様が解説なさっているのでそちらを参照するといいでしょう。
こちら
http://obiekt.seesaa.net/article/141933526.html
このように、戦車のサイズを小さすることにより、装甲厚を保ったまま重量を減らすのは可能である事がわかります。といったところで本題に入ります。
さて、そもそも兵器というのは整備、輸送等の運用上、基本的には軽ければ軽いほど、小さければ小さいほど都合が良いです。ですが戦車の場合、そうもいかない問題が出てきます。
ニコニコ動画で失礼しますが・・
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2817992
(視聴にはニコニコ動画アカウントが必要になります。)
(これのyoutube版等を探してみましたが見つかりませんでした。申し訳ない)
これは戦車の発砲時の動揺を比較する動画です。74式で38t、90式で50tあるのですが、その数十トンもある車体がぐらぐらと揺れている様子がよくわかります。この反動が戦車を設計する上での曲者で、これを抑えないと戦車の性能が大幅に制限されてしまうのです。
まず、主砲の発砲時の反動を抑えないと車体(主砲)が揺れてしまい、命中精度が下がってしまいます。命中精度が下がる、ということは有効射程距離も低下する事を意味します。昨今の携帯対戦車火器の射程が伸びる一方、これは非常によろしくないです。その上発砲後の動揺をいち早く抑えないと二発目が撃てない(動揺している状態では命中精度が下がってしまう)のです。この反動をいかに抑えるかで戦車の性能が大きく左右されてしまうといっても過言ではありません。
従来の戦車の場合、基本的には重量でこの反動を抑えるしかありませんでした。特に世界で広く用いられている戦車砲、ラインメタル社製44口径120mm滑腔砲の反動を抑えるには、最低でも50t、できれば60t近い重量が必要とされてきました。したがって、冒頭で述べたように装甲厚を保ったまま重量を減らす事が可能であっても、反動を抑えなければ意味がないのです。
(今回の10式戦車で軽い軽いと言われていますが、実は90式の50tですら世界的に見て相当軽いです。同じ砲を搭載しているレオパルド2で60t弱、M1A1、M1A2エイブラムスでは60tを越しています。90式の段階で、反動を抑える車体の基礎設計が相当優れていると思われます。)
ところが日本の技術者はこの難問をアクティブサスペンションというシステムを用いて解決しました。アクティブサスペンションというのは車体の揺れを検出し、自動的にそれを反発する可動サスペンションによって車体の揺れを抑えるというものです。これによって、重量を減らしつつ反動を抑える事に成功しました。つまり、44口径120mm滑腔砲を搭載しつつ、従来の性能を下げる事なく車体重量が44tという、まさに化物のような軽さをもつ戦車を日本は創り上げてしまったのです。
余談ですが、このアクティブサスペンションは74式戦車の頃から用いられている可動サスペンションの技術がふんだんに盛り込まれている事は容易に想像できます。つまり、アクティブサスペンションとは決してぱっと出の技術ではなく、これまでの何十年にも渡る技術の積み重ねによって戦車での実用化が成功したと思われます。これは他国にはない貴重な物で、日本の技術者は世界へ向けて胸を張っていい仕事をしたと言い切れるでしょう。
コメント
このへんがドイツと日本の最大の差だと思うわ…
富士演習場実弾やばすぎ
「対中戦・起して儲かる・好景気」自民党(阿部さんガッツポーズ)