ジャベリンが上昇する理由
2011年5月22日 にわか軍事オタクGallia君 コメント (1)※この物語はフィクションです。実在の人物、団体などには一切関係ありません。
登場人物
Gallia君:にわか軍事オタク
一般人:一般人、軍事知識は皆無
~とある部屋にて~
ゲームをしている二人
一般人「あれ?今何をやったんだい?」
Gallia「うん?」
一般人「ミサイルを撃ったんだよね?何か変な方向に飛んでいったような・・・」
Gallia「ああ、これはジャベリンっていう対戦車ミサイルだね」
一般人「戦車を倒すためのミサイル?」
Gallia「そうだよ。ジャベリンっていうのは発射した時に一旦上昇するんだ」
一般人「へー。まっすぐ飛ばないで一旦上に飛ぶんだね」
Gallia「そう。戦車っていうのは正面はすごく厚い装甲になってるんだ。でも正面は厚くても上面は薄い。だから確実に倒すために一旦上昇して装甲の薄い上面を狙うんだ。」
一般人「へぇー。まわりくどいようだけどそっちのほうが確実なんだねー」
・・・(´Д`)
※この物語はフィクションです。実在の人物、団体などには一切関係ありません。
(補足・ここに登場するGallia君は、あくまで物事を説明する上での便宜上、設けられた架空のキャラクターです。正直、名前はなんでもよくてケニカル君でも木村さんでもいいのですが、なんとなくGallia君からスタートしてしまったのでそのまま使っています。)
ところで文中に登場するジャベリンとは FGM-148 Javelin の事をさしています。
参考の動画はこちら
http://www.youtube.com/watch?v=S3iA5KCa16s
ついでに01式軽対戦車誘導弾の動画も貼っておきます
http://www.youtube.com/watch?v=TL5tzzIWQb4
少々BGMがうるさいかもしれませんが、どう飛んでいるのかがわかりやすいかと思います。
さて、今回のGallia君、別段、間違った事を言っているわけではないのでにわか軍事オタクとは呼べないのですが、装甲の薄い上面部分へ当てるため、という説明だけでは少々説明不足と言わざるをえません。たしかにこういった対戦車ミサイルは、装甲の進化にともない正面へ当てても効果が薄いケースが増えているため上面を狙うといった理由もあるのですが、一度上昇をする理由は他にもあるのです。
では説明へ入る前に予備知識として簡単に戦車の動きに関して、
戦車とは機動・火力・装甲といった走・攻・守 三拍子揃った兵器であるのはご存知の通りかと思います。反面視界が狭く、歩兵の援護が必要不可欠とされています。しかし戦車は攻撃側でも防御側でも重要な戦力ですので、そうおいそれとやられるわけにはいきません。そのため戦車は通常、できるだけ長時間、自身の姿を晒さないように身を隠しながら移動します。建物や森林の外縁部といった掩蔽物を利用したり、稜線射撃を行いながら敵に位置を補足されないよう、行動します。稜線射撃とは稜線を前にして相手側正面から見た場合、砲身と砲塔の一部しか見えない状態で射撃する事を言います。この体勢を通称、ハルダウンと言います。その他にも陣地造営の時間的余裕が許される場合、戦車用の塹壕を掘ったり、偽装を施したりします。リアリズムと防衛を学ぶ様に簡単な解説がありましたので紹介させていただきます。
このように、映画では雄々しく前進する姿を描写されがちな戦車ですが、実際にはどちらかというとこそこそと用心深く、慎重に行動するのが普通です。
さて、話は戻りますが従来の直進するタイプの携帯式対戦車ミサイルの場合、至近距離で撃った場合は別として、どうしても発射から着弾までほんのわずかですが時間がかかってしまいます。こういった兵器は発射した瞬間派手な噴煙を上げるので戦車側は素早く察知し、稜線や掩蔽物の影に隠れたりします。ところが FGM-148 Javelin のように一旦上昇するミサイルに対しては身を隠す手段が限定されているので回避が非常に難しくなります。Javelinが一旦上昇する理由は装甲の薄い上面を狙うだけでなく、相手側の回避が困難であるという理由もあるのです。
冒頭のGallia君はJavelinが一旦上昇するのは装甲の薄い上面を狙うためと解説しました。しかしそれ以外にも理由はあるのですが、Gallia君は一度身につけた知識に満足してしまい、それ以外にも理由がないかという探究心を失ってしまったのです。軍事という世界は非常に保守的で、従来と違うやり方へと変化する場合、必ず多角的視点からメリットとデメリットを天秤に掛けて判断します。そこにある理由はひとつだけでなく複数あるのが普通です。冒頭のGallia君のような過ちを犯さないためにも、ひとつの理由に満足せずに、様々な視点から知識を身につけていくべきなのです。偏った知識ばかりになっていまうと、それじゃあ理解したことにはならないよと笑われてしまっても仕方のない事なのです。
登場人物
Gallia君:にわか軍事オタク
一般人:一般人、軍事知識は皆無
~とある部屋にて~
ゲームをしている二人
一般人「あれ?今何をやったんだい?」
Gallia「うん?」
一般人「ミサイルを撃ったんだよね?何か変な方向に飛んでいったような・・・」
Gallia「ああ、これはジャベリンっていう対戦車ミサイルだね」
一般人「戦車を倒すためのミサイル?」
Gallia「そうだよ。ジャベリンっていうのは発射した時に一旦上昇するんだ」
一般人「へー。まっすぐ飛ばないで一旦上に飛ぶんだね」
Gallia「そう。戦車っていうのは正面はすごく厚い装甲になってるんだ。でも正面は厚くても上面は薄い。だから確実に倒すために一旦上昇して装甲の薄い上面を狙うんだ。」
一般人「へぇー。まわりくどいようだけどそっちのほうが確実なんだねー」
・・・(´Д`)
※この物語はフィクションです。実在の人物、団体などには一切関係ありません。
(補足・ここに登場するGallia君は、あくまで物事を説明する上での便宜上、設けられた架空のキャラクターです。正直、名前はなんでもよくてケニカル君でも木村さんでもいいのですが、なんとなくGallia君からスタートしてしまったのでそのまま使っています。)
ところで文中に登場するジャベリンとは FGM-148 Javelin の事をさしています。
参考の動画はこちら
http://www.youtube.com/watch?v=S3iA5KCa16s
ついでに01式軽対戦車誘導弾の動画も貼っておきます
http://www.youtube.com/watch?v=TL5tzzIWQb4
少々BGMがうるさいかもしれませんが、どう飛んでいるのかがわかりやすいかと思います。
さて、今回のGallia君、別段、間違った事を言っているわけではないのでにわか軍事オタクとは呼べないのですが、装甲の薄い上面部分へ当てるため、という説明だけでは少々説明不足と言わざるをえません。たしかにこういった対戦車ミサイルは、装甲の進化にともない正面へ当てても効果が薄いケースが増えているため上面を狙うといった理由もあるのですが、一度上昇をする理由は他にもあるのです。
では説明へ入る前に予備知識として簡単に戦車の動きに関して、
戦車とは機動・火力・装甲といった走・攻・守 三拍子揃った兵器であるのはご存知の通りかと思います。反面視界が狭く、歩兵の援護が必要不可欠とされています。しかし戦車は攻撃側でも防御側でも重要な戦力ですので、そうおいそれとやられるわけにはいきません。そのため戦車は通常、できるだけ長時間、自身の姿を晒さないように身を隠しながら移動します。建物や森林の外縁部といった掩蔽物を利用したり、稜線射撃を行いながら敵に位置を補足されないよう、行動します。稜線射撃とは稜線を前にして相手側正面から見た場合、砲身と砲塔の一部しか見えない状態で射撃する事を言います。この体勢を通称、ハルダウンと言います。その他にも陣地造営の時間的余裕が許される場合、戦車用の塹壕を掘ったり、偽装を施したりします。リアリズムと防衛を学ぶ様に簡単な解説がありましたので紹介させていただきます。
リアリズムと防衛学を学ぶ様より
http://d.hatena.ne.jp/zyesuta/20091027/1256578214
なぜ日本に戦車が必要か?part2 日本の地形と戦車
後半に稜線射撃についての解説があります。
このように、映画では雄々しく前進する姿を描写されがちな戦車ですが、実際にはどちらかというとこそこそと用心深く、慎重に行動するのが普通です。
さて、話は戻りますが従来の直進するタイプの携帯式対戦車ミサイルの場合、至近距離で撃った場合は別として、どうしても発射から着弾までほんのわずかですが時間がかかってしまいます。こういった兵器は発射した瞬間派手な噴煙を上げるので戦車側は素早く察知し、稜線や掩蔽物の影に隠れたりします。ところが FGM-148 Javelin のように一旦上昇するミサイルに対しては身を隠す手段が限定されているので回避が非常に難しくなります。Javelinが一旦上昇する理由は装甲の薄い上面を狙うだけでなく、相手側の回避が困難であるという理由もあるのです。
冒頭のGallia君はJavelinが一旦上昇するのは装甲の薄い上面を狙うためと解説しました。しかしそれ以外にも理由はあるのですが、Gallia君は一度身につけた知識に満足してしまい、それ以外にも理由がないかという探究心を失ってしまったのです。軍事という世界は非常に保守的で、従来と違うやり方へと変化する場合、必ず多角的視点からメリットとデメリットを天秤に掛けて判断します。そこにある理由はひとつだけでなく複数あるのが普通です。冒頭のGallia君のような過ちを犯さないためにも、ひとつの理由に満足せずに、様々な視点から知識を身につけていくべきなのです。偏った知識ばかりになっていまうと、それじゃあ理解したことにはならないよと笑われてしまっても仕方のない事なのです。
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